値段が2.4倍違う理由は、商品ページになかった。比較記事17本・93商品を調べた話

炭酸水の比較記事を書いていて、途中で手が止まりました。

6商品すべてのパッケージに「強炭酸」と書いてあるのに、どれくらい強いのかを示す数字が、1つも見つからなかったからです。

「強炭酸」に、共通の基準はありません

炭酸の強さには、GV(ガスボリューム)という単位があります。標準状態で1Lの液体に1Lの炭酸ガスが溶けている状態が1GVで、数字が大きいほど強い。強炭酸を名乗る目安は5.0GV前後だという解説を見かけます。

つまり、比べる物差しは存在しています。

ところが今回並べた6商品は、どれもAmazonの商品ページにGVの数値を書いていませんでした。あるのは「刺激、強め。」「強力な刺激」といった言葉だけです。

言葉は比べられません。「強め」と「強力」のどちらが強いのかは、誰にも判定できないからです。

同じことが、次の記事でも起きました

続けて書いたカセットボンベの記事で、同じ壁に当たりました。

このジャンルはJIS規格で中身が250gに統一されています。それなのに100gあたりの値段は61円から146円まで、2.4倍の開きがありました。

調べていくと、価格差の主因はガスの組成らしいと分かってきます。安価な商品はブタンのみ、高価格帯はイソブタンを配合していて、後者は気温が低くても火力が落ちにくい——複数のメディアがそう解説しています。

これなら納得できる差です。冬の停電に備えるなら、高いほうを選ぶ理由がはっきりします。

そう思って6商品の商品ページを見直したのですが、書いてあるのは「LPG(液化ブタン)」まででした。イソブタンを配合しているかどうかを明記した商品は、1つもありませんでした。

2.4倍の価格差の理由が、買う場所からは分からない。この2記事で、同じことが2回続きました。

書いていないのは、たぶん義務がないからです

ここから先は推測になります。

食品には栄養成分表示の義務がありますが、炭酸の強さや燃料の組成には、そういった表示のルールが見当たりません。書かない選択ができるということです。

もう一つ考えられるのは、数値が一定でない場合です。製造工場や採水地が複数あると、単一の数字を書くと不正確になります。

実際、伊藤園のミネラルストロングは採水地が群馬と山口の2系統あり、シリカ含有量が50mg/Lと10mg/Lで5倍違うと栄養成分表示に併記されていました。しかもどちらが届くかは選べません。

正確に書こうとするほど、書けることが減っていく。そういう事情もありそうです。

ただ、理由が何であれ、選ぶ側の状況は変わりません。値段の差の根拠が、買う画面には載っていない。

空欄を埋めるためにやっている4つのこと

それでも記事は書かないといけないので、いまはこの順番で埋めています。

1. メーカーの公式サイトを見る。 Amazonの商品ページより詳しいことが多く、使用期限や保管条件のような「売り文句にならない情報」はたいてい公式側にあります。カセットボンベの使用期限が製造から約7年だと分かったのも、岩谷産業の公式ページでした。

2. 検証メディアの実測値を探す。 メーカーが出さない数字を、第三者が測っていることがあります。炭酸水は炭酸濃度を実測して順位をつけている比較サイトがありました。数値そのものを引用するときは、どこの誰がいつ測ったのかまで書くようにしています。

3. 周辺情報から推定する。 原材料の並び順、注意書きの多さ、パッケージの但し書き。「本商品は必ず画像と同じパッケージが届きます」という一文が入っている商品は、過去に何かあったのだろうと推測できます。

4. それでも埋まらなければ、空欄のまま書く。 これが最近いちばん変わったところです。以前は分からない項目を書かずに飛ばしていましたが、いまは「6商品とも記載がありませんでした」と本文に残すようにしました。読者も同じ場所で詰まるはずだからです。

情報量の差は、たぶん姿勢の差です

比較記事を17本、93商品ぶん並べてきて気づいたことがあります。同じジャンルの中でも、商品ページの情報量には大きな差があるということです。

カセットボンベでは、アイリスオーヤマだけが材質(ポリエチレン、ブリキ、合成ゴム)と1本あたりの重量まで書いていました。同じ棚の別の商品は、説明文が2行で終わっています。

炭酸水では、輸入品のサンペレグリノに栄養成分表示も硬度の記載もありませんでした。一方で伊藤園は、採水地ごとの成分の違いまで書き分けていました。

どちらが良い商品かという話ではありません。ただ、選ぶための材料をどれだけ出しているかは、それ自体が判断材料になります。情報を出している会社は、比べられることを前提にしている。それだけで少し信用できる気がしています。

比較表でいちばん時間がかかるのは、計算ではありません

記事を書き始めたころは、単価の計算がいちばん大変だと思っていました。実際にやってみると、電卓を叩く時間は数分です。

時間を食うのは、比較表の空欄を埋める作業のほうでした。5つの商品で揃っている項目を探し、揃わなければ別の軸を考える。その繰り返しです。

そして最後まで埋まらなかった欄は、たいてい「その商品を選ぶ理由になるはずだった項目」でした。強さ、成分、原産地。売り文句に使われている言葉の、裏づけになる数字です。

次に何かを買うとき、商品ページで「書いてあること」を読む前に、書いていない欄がどこかを一度見てみてください。同じ棚に並んでいる商品でも、埋まっている欄の数はけっこう違います。

この視点が役に立ったら、スキで教えてもらえると次の調査の励みになります。

今回の2記事はこちらです:

商品ページの読み方については、こちらにも書きました:

この記事を書いた人

ものしらべ|低評価レビューまで読んでから買う人。

日用品と消耗品の比較を、低評価レビューの争点分析と単価換算つきで出しています。調べているうちに「商品ページに書いていないこと」のほうが気になってきたので、こういう記事もときどき挟みます。次は衣替えまわりの消耗品を調べる予定です。

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